2011年9月22日木曜日

水餃子定食

これはオリエントで働く料理人の端くれが

「家でいかに手早く納得のゆく昼飯を作るか」に 挑戦した

他人にとってはどうでもいい記録である。

オリエントの労働時間は基本十二時間で

内休憩時間は二時間である。

せめて一時間は本を読むか寝るかしたい。

家までの移動距離は往復十五分。

昼飯にかけられる時間は四十五分。

したがって作る時間は

わずかオンリー十五分クッキングタイムである。




                 *水餃子とさっと湯通ししたモヤシ
                 *軽くあぶった油揚げと白菜のポン酢和え
                 *ご飯、生卵、納豆

若い方には馴染みがないかもしれないが昔「すいとん」と言うご馳走があった。
水と小麦粉を練っただけの物をボイルした炭水化物的な主役と、適当に野菜やら鶏肉などが入った具沢山な塩味の、「餅じゃないお雑煮」みたいな代物である。
良く言えば古代イタリア料理にも少しだけ似ているが、悪く言えば戦中の米の代用品スープみたいな食べ物である。

子供の頃、母親が小麦粉を水道水で練って居る時は、「すいとん」を作るときか、多摩川にフナを釣りに行くときだった。
料理があまり得意でない母の「すいとん」の形はバラバラで、大きくこねてしまった隕石みたいなヤツは中まで火が通らず芯の部分が粉っぽくなっていた。
だけど多摩川のフナは安上がりに良く釣れた。
僕はこの「すいとん」のツルッとした触感と、モチモチした歯ごたえが大好きだった。

だからかどうか僕は水餃子が大好きである。
「すいとん」はもう「かんぱん」と同じくらいの頻度で食べないが、あの触感と歯触りをいつの間にか僕は水餃子に求めているのだろう。
快楽に世間体は関係ない。
太ろうが何だろうが家だと三皿分はペロリと食べる。

だがしかし悲しいことにラーメン屋や町の中華料理屋で自分に合う餃子を食べたことが無い。
自分に合うと言ってもたいしたクオリティティを求めているわけでもないのに。
なんかお店の餃子の餡ってグチャとしている。
極端な場合は餡がペースト状になっている。
それと80%の店で同じような味がする。
そして焼きは油っこい。
しかし80%そうなのであればそれが餃子マジョリティなのであろう。
あきらめるしかない。

まとめるとお店の餃子は
1、餡が軟い
2、なぜか同じ味がする
3、焼きの場合は必要以上に油っこい
のである。

さて家での餃子である。
自分の好みに合わせるのであれば、上記三点の逆を行けば良い。
バカだからたいがいは作りすぎる。
さらにアホなので未完の餡が残る。
作りたては焼いて頂く。
余った餃子は一食分ずつラップし冷凍する。
余った餡もどうしようもないから冷凍する。
どうしようもない餡は、どうしようもない昼に、どうしようもなく強引な解凍をし、どうしようもないチャーハンかウドンの具にする。
解凍した餃子はベチャベチャになり焼きには適さない。
そこで今回主役の水餃子となる。

子供のころから長年作ってきたので作り方は相変わらずの適当である。
調味料も具材もその時々の気分や在庫、経済状況によって違う。
だから参考にもならないし、お金を取れるかどうかもわからない。
もしかしたら100人中99人不味いと言うかもしれない。
しかしこれぞ家庭料理である。
餃子マイノリティである。
自分の家族だけが美味しければそれでいいぢゃないのか。
味覚とはそんなものである。
人とはそんなものである。

●家餃子●
1、まず適当な思いつきの調味料と共に肉だけ練る。
2、白菜かキャベツは刻んでから塩もみし、少し塩気を残したまましっかり水気を取る。ニラや長ネギがあれば入れる。
3、1と2をしっかり合わせる。
4、焼きの場合は少量の油で焼き底が少し色付いてきたら、少量の片栗粉を入れた水を餃子の高さの半分くらいまで入れ蓋をする。ここで具に火を通すイメージ。
5、蒸発して来た頃に胡麻油を鍋底に入れ焼きに入る。パチパチと言う音が小さくなって来たら薄いヘラで底から一気に餃子を外す。
6、そうすると餡がプリプリで、具材の味がして、油っぽくない焼き餃子が出来る。
7、水餃子の場合は沸騰したお湯に冷凍のまま放り込み、浮いてきたら別鍋の鶏ガラスープに入れる。
鶏ガラスープに直接だと粉でドロドロになり、かなり乱暴な感じなのでせめてここは別鍋でやってみたい。
出来たらそのまま野菜などの具を足してスープとしてでも良いし、焼きと同じようにつまんで酢醤油でも、少し豆板醤を付けても美味い。

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